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この記事は、次の方向けです。
・読書が好きな方
・仕事の引退後の生活について興味のある方
藤沢周平さんを読もうとした理由
今回は、藤沢周平さんの作品の感想です。
何故、藤沢周平さんを読んでいるかたというと、良い文章を読まないと上手な文章は書けないようです。
一応、ブログを書いている僕としては、上手いとまではいかなくても、そこそこの文章は書きたい。
という事で、現代の名文家であり、作品も面白いと評判の藤沢周平さんの作品を読んでみました。
三屋清左衛門残目録 藤沢周平 文春ウエブ文庫 2007年 を読んだ感想
今回、紹介する作品は、三屋清左衛門残目録です。
非常に簡単な、あらすじは、ある藩の重役を務めていた、三屋清左衛門が引退を決意し、息子に家督を譲って隠居しました。清左衛門は、引退後の寂しさを抱えながらも、息子の嫁、飲み屋のおかみ、友人等に支えられながら生きていきますが、引退した事を活かした活躍をしていきます。
清左衛門が関わった、藩の大事が収まった時、友人を見舞いにいった清左衛門がある境地にたどりつく。
ざっと、こんな感じです。
話の展開は、スピーディで面白いですし、読後感は、すっきりして、背筋が伸びました。
引退後の人が主人公なので、僕みたいな、年齢の人にはなを感じるものがあると思います。
この物語を読んで学んだ、3つの事
この物語を読んで感じた事をいくつか書いてみたいと思います。
最後に、清左衛門の境地を引用しています。
1つ目は、清左衛門は、僕達と同じ、普通の人だった。
引退後の清左衛門の思いと行動です。
清左衛門は、引退してみると寂しさがのしかかってきます。
引退したのを後悔したりします。
そこで、剣の道場に通ったり、老子を教える塾に通ったり、釣りを始めたりしますが、
やはり、寂しさはつきまとってきます。
ここの所は、今の僕達と同じですね。
定年になると、清左衛門と同じように事にトライするのではないかと思います。
清左衛門も普通の人でした。
2つ目は、清左衛門の引退した身分が役にたつ仕事があった。
藩の重役を引退したので、藩における立場は、ゼロです。
しかし、その立場ゆえに、現役の重役から、藩として大っぴらにできない事の内偵を依頼されます。
藩の中には、内部抗争、殿様の跡目争いがあり、それに関わる事は、現役は関われないのです。
そこで、引退者の清左衛門が頼られます。
清左衛門は、身の危険のある依頼でも、快く引き受け、生き生きと活躍します。
ある時は、無法者をその場で切ろうとした、現役奉行に、引退者独特の広い見識で、アドバイスをします。
僕も、現役世代から頼られれば元気溌剌、頑張るのですが、今のところ依頼はありません。
引退後の清兵衛に依頼が来るのは、「信頼」があるからだと思う。
現役時代の地位とか業績がメインでは無くて、信頼があるかどうかだと思う。
僕の所に依頼が来ないのは、信頼が足りないからかもしれないなと思う。
しかし、過ぎ去った事をぼやいても仕方がない。
これからは、「信頼」を得られるように生きていきたいと思っています。
一方、定年後の僕達は、純粋な気持ちで、現役世代をサポートできたらと再認識しました。
国際政治でも、時々、元政府高官とか元軍高官が出てくることがあります。
この人達も、清兵衛と同じなのかなと思って見ています。
加えて、引退者独特の視点も、実際、あるように思えます。
何者にもとらわれず、すっと、未来を見えてような視点です。
現役の人は、どうしても今が中心です。
その次、一歩先、将来については、忙しくて考えている余裕が無いのです。
そこを、年配者独特の視点でカバーできれば最高と思いまう。
頼られるかどうかは、僕の信頼の大きさによるのですが、年配者独特の見地も大切にしていきたいです。
3つ目は、自分の衰え、死と対峙する清左衛門がいた。
引退後、釣りに誘いに来た元同僚。
元同僚は、清左衛門を妬んでいた。
夜釣りに出かけた時、元同僚は、清左衛門を亡き者にしようとする。
他に、蓄財して若い妾を持つ同僚。
その同僚が、今でいう脳障害で動けなくなる。
夜釣りで命を狙った同僚が、無くなった日、清左衛門は、お葬式にいった。
そして、清左衛門は、老いとどう付き合うかを考えていた。
脳障害を持つ平八がリハビリをしている姿を見て、清左衛門が思った事は最後で。
同じ年代の人が無くなりだすと、死という事から逃れられないと思います。
僕は、学生時代に、友人を交通事故で亡くしましたが、人間はいつか死ぬんだな。
好きなことをやろうと思ったことがありました。
60歳を超えると、どうしても、自分はどう死んでいくのかを考えてしまいます。
これは、18歳の頃には無かった感覚です。
痴呆症とか、ガンとかが気になります。
痴呆症にだけは生りたくないと、多くの周りの人が言っていますが、
どうなるか分からない時に、どうやって備えておけば良いのか考えてしまいます。
そんな、僕ですが、今を精いっぱい生きるという事が大切なんだと思います。
清左衛門の答えは、僕のお手本にしたいと思います。
4つ目は、清左衛門はいろんな人に支えてもらっている。
清左衛門は、羨ましいぐら、息子の嫁、飲み屋のおかみに大切にされます。
威張らない、気さくな人望だからでしょう。
その人達に支えられて、生きています。
これって、本当に大切なような気がします。
誰も、支えてくれなければ、おしまいです。
清左衛門の場合は、人望がそれを支えているのですが、
僕の場合は、人望を身につける時間は限られているので、
感謝の言葉を家族、回りの人に伝えたいと思います。
ここが、一番、大切かもしれません。
清兵衛が至った境地
清左衛門が、元同僚で金を貯め、若い妾を持っている平八が、脳の病に倒れた。
その平八を見舞いにいくと、平八が杖をつきながらリハビリをしている。
いよいよ歩く習練をはじめたか、と清左衛門は思った。
三屋清左衛門残目録 藤沢周平 文春ウエブ文庫 2007年
人間はそうあるべきなのだろう。衰えて死がおとづれるそのときは、おのれをそこまで生かしめたすべてのものに感謝をささげて生を終わればよい。しかしいよいよ死ぬるその時までは、人間はあたえられた命をいとおしみ、力を尽くして生き抜かねばならぬ、そのことを平八に教えてもらったと清左衛門は思っていた。
まとめ
- 60歳になったら、若者とは違った見方・考え方で若者を支えよう
- 人間として貯めるべきは、お金、地位ではなく、「信頼」
- 自分を支えてくれる、家族、周りの人達を大切にしよう
最後まで読んで頂いてありがとうございました。